電気の世界には電位差というものがあります。
電位差は電気の基本知識の中でも基礎中の基礎と言える程、重要なものです。
しかし、何となくわかりにくい、難しいイメージがある、と感じる方は多いのではないでしょうか?
電気の勉強では理解をすることがとても大切です。
そんな方に向けて今回は電位、電位差とは何なのか?順番にわかりやすくお話していきます。
電荷と電界について
電位差を理解するためには電荷と電界について理解しておく必要があります。
まず、電荷というのは電気量をもった物体や粒子のことをいいます。
電荷の単位にはC(クーロン)が使用され、1C=ある断面を流れる電流が1Aの時、1秒に移動する電荷の量となります。
電気量というのは、文字通り電気の量のことです。
物体や粒子がどれくらい電気を帯びているのかを表すものです。
電気を帯びているものに近づくとバチっとしたり、鉄粉のような小さな金属であれば動いたりします。
このような電荷がもっている電気量が周囲に力を働かせる空間を電界といいます。
電界の強さは単位電荷に働く力とされ、単位にはV/mが使用されます。
この電荷と電界が電位を理解する上でとても重要な部分になります。
電位とは?
それでは電位とはどのようなものなのでしょうか?
電位というのは、電荷が電界に逆らって移動をするのに必要なエネルギーを表すものです。
単位にはV(ボルト)が使用されます。
電界の中に電荷を置いた時、電界の力を受けることになります。
電荷を移動させたいとなると、電界から受ける力に逆らい力を加える(仕事をする)必要があります。
この移動に必要なエネルギーが電位ということになります。
電位は位置エネルギーと同じように考えることができます。
位置エネルギーというのは、重力が働く場所にあるすべての物体や動物が持っているエネルギーです。
坂道にいれば転がり、高い場所から落ちれば地面にぶつかるまで落下運動を続けます。
運動をするということは、そこにエネルギーがあるということになります。
電位の場合も同じです。電界の中に電荷を置けば、電界の力を受けます。
電荷にエネルギーを与えて電界の力に逆らって移動したとします。
エネルギーを与えることを止めると、電荷は電界の力を受けているので元の位置に戻ろうとします。
このように電界の力を重力、電界を受け電荷がもつことになるエネルギーを位置エネルギーとして、同じように考えることができます。
このことから電位が高い・低いといった表現をします。
つまり、電位が高いということは電界から受ける力が強いということになります。
電位が低いということは、少しのエネルギーで電荷が移動できるため、電界から受ける力が弱く電荷が移動しやすい位置と言えます。
ちなみに電位は大地の電位を基準点(0V)として考えられることが多いです。
なぜ大地の電位を基準点として考えることが多いのかというと、大地はどこまでも続く巨大な導体だからです。
導体内部はどこでも電位は同じになります。
また、大地=地球そのものであり、帯電させことができないため、電位が安定していることから基準点としてよく考えられます。
これらのことから、電位というのは電荷の移動に必要なエネルギー、電界による位置エネルギーのことをいいます。
電位差とは?
では、電位差とは何なのかというと、こちらも文字通り電位の差を表すものです。
電位の差なので単位は電位と同じくV(ボルト)となります。
下の図のような電位A、電位Bがあったとします。
2つの電位は電界から受ける力が違うため、それぞれ違う電位となります。
この電位A、電位Bの電位の差が電位差ということになります。また、この電位差のことを電圧ともいいます。
電圧が電気を流そうとする力と言われているのはこのことが理由になっています。
そのため、電位の差がない場所には電圧は発生しません。
例えば、下の図のような電位A、電位Bがあったとします。
電位A、電位Bは電位が同じです。
電位が同じということは電位差がないため、電位差は0Vとなります。
また、ある2点間の電位が同じであった場合、2つの電位は同電位であるといいます。
以上が、電位差の概要と考え方になります。
まとめ
・電荷とは電気を帯電した粒子や物体のことであり、周囲に力が働く空間を電界という
・電位とは電界を受ける電荷が移動するのに必要なエネルギー、電界による位置エネルギーのことをいう
・電位の単位にはV(ボルト)が使用される
・電位差とはある2点の間の電位の差のことをいい、電圧ともいう
いかがだったでしょうか?今回は電位、電位差の概要についてご紹介しました。
これで電位や電位差について難しく感じていた方もイメージしやすくなるかと思います。
また、地球が巨大な導体になる理由と電圧の詳しい性質についても大切な理論になりますので、併せて是非下記の記事も読んでみてください。
この記事を読むと、電位差について理解できるようになります。