【最強のわかりやすさ】電圧降下の計算方法とは?対策方法をわかりやすく解説

電気の世界には電圧降下という現象があります。

電圧降下は電気業界で基本となる電気理論のひとつです。

「聞いたことはあるけど、よくわからない」、「何となく知ってはいるけど、具体的には説明できない」という方は多いのではないでしょうか?

今回の記事では、電圧降下の概要や求め方などについて詳しくお話をしていきます。

いずみ

この記事を読むと、電圧降下の計算と対策方法について理解することができます。



電圧降下とは?


電圧降下というのは、電圧を加えた際に、回路の抵抗と熱によって電圧が下がってしまう現象のことをいいます。

なぜ電圧が下がってしまうのかというと、抵抗に電圧が加わる度に回路の電気エネルギーが一部失われ、熱へ変換されてしまうからです。

熱へ変換された分、電気エネルギーは減ってしまいますので、抵抗を通った後の回路の電圧はその分下がってしまうことになります。

例えば下の図のような抵抗1、抵抗2を直列に繋いだ回路があったとします。

電源からは100Vの出力があります。

実際は電線内部にも少しの抵抗があるかと思いますが今回は無視します。

点aまでは100Vのままですが、抵抗1、抵抗2で電圧が下がってしまい、一番末端の点bでは0V付近まで下がってしまいます。

このように回路に抵抗があると、電圧を加えた時に発生した電流により熱が発生し、電圧が下がってしまいます。

これが電圧降下のおもな概要です。

電圧降下が起こるとどうなる?


それでは電圧降下があると、どんなことが起きるのでしょうか?

電圧降下は回路に抵抗があると熱が発生し、電圧が下がってしまう現象とお話しました。

最終的に電圧が下がってしまうということは、本来必要な電圧を加えることが出来なくなっているということになります。

電圧降下により電圧が下がることで、電圧が足りず機器が動作しなくなったり、停電になる等の問題が起きる可能性があります。

そのため、電圧降下が起きても正常に機器が動作できるように対策をすることが大切です。

電圧降下の対策方法について


電圧が下がり、機器が正常に動作しなくなると困りますよね。

それでは電圧降下を対策するにはどんなことをすればよいのでしょうか?

おもに3つの対策方法があります。

電線を太くする、短くする

電圧降下は抵抗に発生する熱が原因です。

そして抵抗が大きい程、熱が大きくなり、電圧降下も大きくなってしまうことから抵抗を小さくすることが重要です。

電線を太くすれば、電流が流れやすくなり、電線の内部抵抗が小さくなります。

また、電線の長さを短くすることでも電線の内部抵抗を小さくすることができます。

電流を小さくする

電圧降下は抵抗に電圧が印加された際に流れる電流が原因です。

電流が抵抗を流れると熱が発生し、電圧が下がります。

そのため、負荷を減らすなどして回路の電流を小さくできれば、熱が少なくなり、電圧降下も小さくすることができます。

※負荷とは照明や機械など電気を消費するもののことです。

電源の電圧を高くする

電圧降下が起きることが予想できているのであれば、本来よりも少し高めの電圧を印加することで、電圧降下が発生しても理想の電圧を得ることができます。

以上が電圧降下の対策方法として考えられる3つの方法です。

熱を発生しないようにすることが重要なポイントです。

電圧降下の計算方法


電圧降下はオームの法則により求めることができ、下の式で求められます。

$$電圧降下(V)=電流(A)\times抵抗(Ω)$$

で求めることができます。

この式を使用して実際に例題で電圧降下を求めてみましょう。

下の図のような電源が100V、抵抗1が30Ω、抵抗2が10Ωの回路で抵抗2の両端で発生するaの電圧降下を求めます。

まずは電流が分からないので電流を求める必要があります。

直列回路なので回路全体の抵抗は40Ωです。

オームの法則により、回路全体を流れる電流は、$$回路全体の電流(A)=\frac{100(V)}{40(Ω)}$$となり、2.5Aとなります。

直列回路ではどこでも電流の大きさは同じになるため、抵抗2を流れる電流も2.5Aとなります。

このことから、$$電圧降下a(V)=2.5(A)\times10(Ω)=25V$$となります。

よって、電圧降下aは25Vとなります。

このように、電圧降下はオームの法則で求めることができます。

まとめ

・電圧降下とは電圧を加えた際に回路の抵抗、熱によって電圧が下がってしまう現象

・電圧降下は電圧が下がる現象のため、機器が動作しなくなる可能性がある

・電圧降下は抵抗を小さくする、熱を発生させないようにすることで対策をすることができる

・電圧降下はオームの法則により下記の式で求めることができる

$$電圧降下(V)=電流(A)\times抵抗(Ω)$$

以上がまとめたものです。

今回は電圧降下の概要と求め方について解説しました。

電圧降下は電気業界においてとても重要な理論であることが理解できたかと思います。

そして電圧降下という現象には抵抗と熱、電流が大きく関わっています。

以下の記事では電流によりなぜ熱が発生するのか、電圧とはどのようなものかを詳しく解説していますので、こちらの記事も併せてぜひ読んでみてください。
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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。