【5分でわかる】キルヒホッフの第2法則とは?計算方法をわかりやすく解説

簡単な電気回路の計算は中学校で習うオームの法則で計算することができます。

 

しかし、さらに複雑な電気回路を計算したい場合は、オームの法則では限界があります。

 

そんな時に活躍するのがキルヒホッフの法則です。

 

特にキルヒホッフの第2法則は、理解するのが難しいですが、コツをつかめば複雑な電気回路も簡単に計算をすることができるようになります。

 

今回はこのキルヒホッフの法則について詳しくお話していきます。



キルヒホッフの法則とは?


キルヒホッフの法則とは1845年にグスタフ・キルヒホッフが発見した電気回路に関する法則です。

 

複雑な回路の計算をするためにオームの法則を発展させた法則となっています。

 

キルヒホッフの法則には電流に関する第1法則、電圧に関する第2法則の2つの法則があります。

 

第1法則、第2法則の詳細について順番に説明していきます。

 

キルヒホッフの第1法則について


まず、キルヒホッフの第1法則とはどんな法則かというと、回路の任意の接続点において流入する電流の和と流出する電流の和は等しくなるというものです。

 

例えば下の図のような接続点があったとします。

流れてくる電流が2つあり、それぞれをI1、I2とし、出ていく電流をI3とします。

 

各電流の関係は

 

$$I3=I1+I2$$

 

となり、流入する電流の和=流出する電流の和になるという内容です。

 

並列回路の電流を計算する時と同じように考えればイメージしやすいと思います。

 

これがキルヒホッフの第1法則の概要です。

 

キルヒホッフの第2法則の計算について


次に、キルヒホッフの第2法則は、回路の中の任意の一つの閉回路において、その閉回路を一巡する時、抵抗の電圧降下の和と起電力の和は等しくなるというものです。

 

どうゆうことかというと、例えば下の図のような電源が2つある回路で電源の起電力をそれぞれE1、E2とします。

起電力によって電流が流れ、各抵抗で電圧降下が発生します。

 

この各抵抗で発生する電圧降下がE1、E2と等しくなるということです。

 

そのためE2については、

 

$$E2=R2\times I2+R3\times I3$$

 

となります。

 

キルヒホッフの第2法則で関係式を考える際に重要なのは、回路を一巡する時の電圧の向きにとても注意をする必要があります。

 

自分で決めた正方向に対して反対の向きの電圧は-として考えます。

 

E1→R1→R2と時計周りに電圧をたどる方向を正として、回路の電圧を時計周りにたどると、E1と電圧降下の関係はR2×I2の電圧降下が反対の向きになり、

 

$$E1=R1\times I1+(-R2\times I2)$$

 

となります。

 

このことから、キルヒホッフの第2法則では関係式を作る際、電圧降下の向きを間違えると全然違う計算結果になってしまうので向きをよく確認しておくことが重要なポイントとなります。

キルヒホッフの法則の例題


例題でキルヒホッフの法則を使い実際に計算してみましょう。

 

下の図のようなE1:50V、E2:40V、R1:10Ω、R2:3Ω、R3:5Ωの回路でI1、I2、I3をそれぞれ求めてみます。

まずは各電流の関係についてですが、キルヒホッフの第一法則により、電流は

 

$$I3=I1+I2$$

 

となります。

 

次に、各起電力と電圧降下の関係式を求めます。

 

E1→R1→R2と一巡する方向を正とすると、$$50=10I1+(-3I2)・・・①$$

 

$$40=(-3I2)+5I3・・・②$$

 

という関係式が作れます。

 

I3=I1+I2のため、②の式のI3に式を代入すると、

 

$$40=(-3I2)+5I1+5I2=5I1+2I2・・・③$$

 

となり、式①、式③を連立方程式として計算することで、各電流を求められます。

 

$$\begin{cases}50=10I1+(-3I2)・・・①\\40=5I1+2I2・・・③\end{cases}$$

 

 

式①と式③の連立方程式を解くと、I1≒6.29A、I2≒4.29A、となります。

 

I3はキルヒホッフの第一法則により、

 

$$I3=6.29+4.29=10.58A$$

 

となります。

 

答え:I1=6.29A、I2=4.29A、I3=10.58A

 

ちなみにI1、I2を求め終わったら、①や②の式に答えを代入してみると確実に答えが正しいことが確認できます。

 

もし代入をして=が成立しなければ電圧の向きや関係式にどこか誤りがあることになります。

 

このように、キルヒホッフの法則を使えば複雑な回路でもI1、I2、I3を一気に求めることができます。

まとめ

・キルヒホッフの法則は複雑な回路の計算に使用でき、第1法則と第2法則がある

 

・キルヒホッフの第1法則は回路の接続点の流入する電流と流出する電流の和は等しくなるというもの

 

・キルヒホッフの第2法則は閉回路を一巡する時、起電力と各抵抗に発生する電圧降下は等しくなるというもの

 

・キルヒホッフの第2法則で関係式を作る際は電圧の向きに注意する必要がある

 

以上がキルヒホッフの法則についてまとめたものです。

 

コツをつかむことができれば、複雑な回路の計算もできるようになるのがキルヒホッフの法則です。

 

しかし、基本がわかっていなければコツをつかむことは難しいです。

 

以下の記事では、電圧降下の計算の仕方や概要など、電気回路の基本について詳しく解説していますので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

 

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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。