直流と交流の違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説!

電気には直流(DC)と交流(AC)の2種類のタイプがあります。

私たちの身の回りの電気機器は直流と交流のメリット、デメリットを考慮し、それぞれ目的に応じて使い分けられています。

今回の記事では、直流と交流の違いとは何なのか?メリット、デメリットにはどのようなものがあるのか解説をしていきます。

いずみ

この記事を読むと、直流と交流のメリットとデメリットについて理解できます。



なぜ直流と交流があるのか?

直流と交流が両方存在する理由は歴史的な経緯や技術の進化によります。

直流は初期の発電技術で主流でしたが、交流が長距離送電に適していることが発見され、電力の分野での利用が広がりました。

現在では、それぞれの特性が異なり、様々な用途で活用されています。

直流と交流の違い


直流と交流の違いには大きく分けて2つの違いがあります。

違いは下記のとおりです。

大きさの違い

まずは大きさについてですが、直流の場合は大きさは常に一定の大きさになります。

例えば、直流の電圧が100Vであれば、どれだけ時間が経過しても電圧は常に100Vとなります。

電流についても電圧が一定であることから電流の大きさも常に一定になります。

一方、交流の場合は大きさが波のように常に変化します。

大きさの変化には規則性があり、周波数(HZ)というものによって周期が変わります。

周波数というのは1秒間に波がどれくらい繰り返されているのかを表すもので、交流も波であることから周波数というものが存在します。

例えば、交流100Vの周波数が60HZであった場合は、その交流は1秒間に60回大きさが変化しているということになります。

大きさは0Vであったり、50Vであったり、常に変化します。

「常に大きさが変化しているものを交流100Vとして扱っても大丈夫なの?」と疑問に思いますが、交流の大きさを決める時にはルールがあります。

交流の大きさは交流の電力と直流の電力が同じになるようにして大きさを決めています。

例えば、交流100Vというのは、直流100Vを加えた時の電力と同じ電力となる電圧を意味します。

交流200Vであれば、単純に大きさが200Vということではなく、直流200Vを加えた時の電力と同じになる時の交流電圧ということになります。

この時の交流の大きさは実効値とも呼ばれています。

極性の違い

もう一つの違いは極性(+、-)の違いです。

直流の場合は+と-の向きが常に一定です。

例えば、直流のー100Vであればどれだけ時間が経過してもずっとー100Vのままです。

一方、交流の場合は極性も常に変化します。

交流は波のように大きさが変化することから、それに伴い極性も1秒間に何度も+とーを繰り返します。

以上が直流と交流の主な違いです。

この2つの違いがあることから、それぞれを比べた時にメリットとデメリットが生まれてきます。

直流のメリット


直流のメリットは主に2つあります。

メリットは下記のとおりです。

安定している

直流は大きさと極性が常に一定であることから、安定した電源として使用できます。

電池を充電できる

直流は電池を充電することができます。

なぜ直流は充電することが可能なのかというと、極性が常に一定なためです。

電池は化学反応により電気を発生させています。

化学反応の方向が突然変わることはないため、電気の向き(極性)は常に一定となることから、電池は直流の電気になります。

そして充電をする時は普段とは逆方向から電気を加えることになり、普段と逆の化学反応がおき、電子の状態が戻り、再度使用できるようになります。

そのため電池を充電する時は電気を貯めているように感じますが、充電というのは電気を貯めている訳ではありません。

電気というのは、あくまで電子の移動によって発生するエネルギーのため、貯めることはできません。

なぜなら電気を貯めるということは電子の移動現象を貯めることになり、それは不可能だからです。

このようなことから、直流には常に方向が一定となる性質があるため、電池を充電することができます。

直流のデメリット


直流は充電することもでき、便利ですがデメリットも存在します。

直流のデメリットは下記のとおりです。

変圧ができない

直流は大きさも向きも常に一定であるため、変圧することができません。

電圧を変圧する時に使用する変圧器というものは、電磁誘導作用を利用して変圧を行います。

電磁誘導作用は電気の大きさや向きが変化することにより作用するのですが、直流の場合は大きさも向きも変化しません。

電磁誘導作用については以下の記事で解説をしていますので、気になる方は参考にしてください。
ファラデーの法則、レンツの法則とは?3つの違いをまとめ!

そのことから、変圧器を使用することができず、変圧ができません。

回路の途中で変圧ができないと、回路の電圧に合わせて電源を用意するなど、色々と検討をすることが増えるため不便です。

遮断が難しい

回路を遮断する瞬間は遮断した両方の回路間にアーク放電というバリバリした放電がおきます。

この放電はとても高熱で危険なことから遮断時に発生したらすぐに消す必要があります。

交流の場合は大きさが常に変化しており、0になる瞬間があるため消すことができるのですが、直流の場合は大きさが常に一定です。

そのため、遮断する時は交流よりも消すのが困難であり、危険になります。

以上が直流のメリットとデメリットです。

今度は交流のメリットとデメリットに注目します。

交流のメリット


交流には主に2つのメリットがあります。

交流のメリットは下記のとおりです。

変圧が簡単

交流は大きさと向きが常に変化していることから電磁誘導作用を利用して変圧器で変圧することができます。

変圧ができると電気を効率よく送ることができるようになり、送電時の損失を減らせる他、設備コストの削減にもなります。

遮断が簡単

交流には大きさが0になる瞬間があるため、遮断時のアーク放電を消しやすいというメリットがあります。

そのため、回路で短絡などの事故があった場合も安全に遮断することができます。

交流のデメリット


続いて交流のデメリットです。

交流には以下のデメリットがあります。

品質管理が難しい

交流は常に大きさが変化しています。

家のコンセントの電圧も基本は交流の100Vですが、厳密に言うと実際は数ボルト程の変動があります。

この変動があまりにも大きいと、機器の故障などにつながる場合もあります。

変動が少なく理想的な電圧を確保するためには位相や周波数などを管理する必要があり、高い技術を求められます。

周波数を確認する必要がある

交流の電気は波であることから、周波数があります。

家のコンセントには交流が使用されていますが、東日本と西日本で周波数が異なります。

東日本では50HZ、西日本では60HZの周波数を使用していることから、違う地域で機器を使用する場合は注意が必要です。

なぜ、東日本と西日本で周波数が異なるのかは以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。
【最強のわかりやすさ】電気とは何か?わかりやすく解説!

以上のメリットとデメリットを考慮したうえで、私達の身の回りの機器では目的に応じた電気が使われています。

まとめ

・直流と交流は大きさと向きの性質に違いがある

・直流のメリット:安定している、充電が可能

・直流のデメリット:変圧、遮断が難しい

・交流のメリット:変圧、遮断が簡単

・交流のデメリット:品質管理が難しい、周波数が地域により異なるため注意が必要

以上、今回は直流と交流の違いとメリット、デメリットについての解説でした。

直流と交流の違いを理解していると、なぜこの機器にはこの電気が使用されているのか?といったことがわかるようになります。

しかし、交流は周波数や位相などが関わるため、最初は理解をすることが難しいです。

以下の記事では、交流の周波数や位相などを具体的に解説していますので、併せてぜひ読んでみてください。
【3分で分かる!】交流の電圧、電流とは?

【最強のわかりやすさ】位相の遅れと進みとは?電気の位相を解説!

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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。