蓄電池は充電することで繰り返し使用することができる電池です。
蓄電池を長年使用していると、「いつの間にか電池の減りが早くなっていた」と感じることはありませんか?
蓄電池には寿命があるため、寿命を延ばす方法を理解した上で使用すると生涯でかかるコストを大きく抑えることができます。
今回の記事では蓄電池の種類、種類毎の寿命を延ばす方法について解説します。
目次
蓄電池とは?
蓄電池とは充電することで繰り返し使用することができる電池のことです。
蓄電池には容量[A・h]があり、容量の大きさによって使用できる時間や供給できる電流の大きさが変わります。
一般的に、蓄電池の容量はアンペア時(Ah)またはミリアンペア時(mAh)で表されます。
1A=1000mA
蓄電池の容量は、単位時間あたりに放電できるエネルギー量を表しています。
例えば、1 Ahの容量の蓄電池は、1時間あたり1アンペアの電流を1時間間供給することができます。
同様に、1 mAhの容量の蓄電池は、1時間あたり1ミリアンペアの電流を1時間間供給することができることになります。
このことから蓄電池の容量は以下のように計算することができます。
$$W=IH[A・h]$$
$$I:放電電流、H:放電率(時間率)$$
Hの放電率(時間率)とは、放電した時に蓄電池が最低電圧に低下するまでにかかる時間のことです。
車のバッテリーなどの蓄電池はある電圧まで下がりすぎると充電容量が減少したり、性能が悪くなってしまいます。
ここでいう最低電圧とは0Vではなく、蓄電池に悪影響を与えない範囲の一番低い電圧ということを意味します。
放電率を10hとした時の容量は10時間率容量、5hとした時の容量は5時間率容量といい、一般的に放電率は10hか5hがよく使用されます。
例えば車のバッテリーは5時間率容量を使用したものが多いです。
しかし、蓄電池の実際の容量は、使用条件や周囲の温度などによっても変化する場合があります。
蓄電池の種類
蓄電池にはいくつか種類があり、種類によって特徴が異なります。
主な蓄電池の種類は下記のとおりです。
- 鉛蓄電池
- リチウムイオン電池
- ニッケル・カドミウム蓄電池
- ニッケル・水素蓄電池
- 鉄ニッケル蓄電池
鉛蓄電池
自動車用バッテリーなどに使用される蓄電池で、鉛板と硫酸液を使って電気エネルギーを得るものです。
比較的安価で大電流を得ることができるため、多くの場所で使用されています。
しかし、鉛を使用するため重量があることから移動して使用することにはあまり向いていません。
リチウムイオン蓄電池
スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などに使用される蓄電池で、高いエネルギー密度と長寿命が特徴です。
軽量ですが、過充電や過放電による発熱・発火・爆発の危険があるため、使用には注意が必要です。
よく爆発したと聞くのがこの電池ですね。
ニッケル・カドミウム蓄電池
高い放電率を持つため、一般的に携帯電話やデジタルカメラなどの小型電子機器に使用されます。
充放電のサイクル寿命が長く、高温環境下でも性能が安定しています。
ニッケル・水素蓄電池よりも自然放電が少ないという特徴もあります。
しかし、カドミウムが有害物質であるため、廃棄時は環境に悪影響を与える可能性があります。
ニッケル・水素蓄電池
ハイブリッドカーなどに使用される蓄電池で、ニッケルと水素を使って電気エネルギーを得ます。
ニッケル・カドミウム蓄電池よりも環境に優しく、廃棄処理も容易にできます。
高いエネルギー密度を持ちますが、価格が高いのがデメリットです。
鉄ニッケル蓄電池
再生可能エネルギーの貯蔵用途に適した蓄電池で、安価で大容量を実現できることが特徴です。
高いエネルギー密度と長い寿命を持ち、放電率も高いことから再生可能エネルギーの貯蔵用途によく使われます。
しかし、重量があるため移動して使用することにはあまり向いていません。
以上が蓄電池の主な種類と特徴です。
蓄電池は種類によって異なる特徴を持つため、用途や使用環境に応じて適切なものを選び使用されます。
蓄電池の寿命は?
蓄電池の寿命は蓄電池の種類によって異なります。
各種類における平均的な寿命は以下のとおりです。
種類 | 寿命 |
鉛蓄電池 | 13年~15年 |
リチウムイオン蓄電池 | 6年~10年 |
ニッケル・カドミウム蓄電池 | 5年~10年 |
ニッケル・水素蓄電池 | 5年~7年 |
鉄ニッケル蓄電池 | 10年~20年 |
上記の寿命は大体の目安です。
同じ種類の蓄電池でも、実際の使用サイクル(放電と充電)の回数によって寿命が早くなったり、遅くなったり個人差が生まれます。
また、蓄電池のメーカーによっても寿命に違いがあるため注意が必要です。
蓄電池の交換の目安は?
蓄電池が完全に機能しなくなる前に交換をする必要がありますが、可能であればギリギリまで使用したいですよね。
交換の目安となるのは製造メーカーが推奨する年数やフル充電が新品の時の8割程に感じる時、持続時間が短くなったと感じる時です。
特に電池が発熱したり膨張したりしている場合は早急に交換することをおすすめします。
ちなみに蓄電池の購入や取換えを検討している方には以下の見積りサイトがおすすめです。
蓄電池の最適業者を見つけられる一括無料見積りはこちら複数の業者を比較することができ、見積りも無料なため、業者で迷っている方には良い判断材料となります。
蓄電池の寿命を延ばす方法
蓄電池の使用方法や保管方法を変えるだけで蓄電池の寿命は大きく変化します。
寿命を延ばす方法は以下のとおりです。
適切な充電をする
蓄電池をなるべく定期的に充電し、過度な放電を避けることが重要です。
放置してしまうとバッテリーの電圧が低下し、寿命が短くなる原因になります。
反対に過度な充電も蓄電池の寿命を縮める要因となります。
また、急速充電をしてしまうと蓄電池の温度を上げ、寿命を短くする可能性があるため急速充電も避けるようにしましょう。
適切な温度で管理をする
蓄電池は高温や低温の影響を受けやすいです。
過度の熱や寒さにさらされると、蓄電池の性能が低下し寿命が短くなる可能性があります。
また、直射日光が当たる場所は、温度が上がり蓄電池の劣化につながるため控えるようにしましょう。
適切な温度かつ、温度変化の少ない環境で管理することが理想的です。
定期的に点検をする
当然のことですが、ずっと放置するよりも定期的にメンテナンスをしたほうが蓄電池の寿命が延びます。
定期的に端子部分の締め付けを確認をしたり、清掃をしたりするだけでも効果があります。
使用サイクル(頻度)を管理する
蓄電池の寿命は年数よりも使用頻度によって大きく変わります。
例えば、同じ年数の蓄電池が2つあったとして使用頻度に2倍の差があれば使用頻度の多い方が寿命は早くなります。
使用頻度を管理していれば、「最近は使いすぎたから少し控えよう」など調整することができ、寿命を延ばすことに繋がります。
過剰な負荷をかけない
大型の機器など大電流が流れる機器に使用すると、蓄電池へ過度なストレスがかかります。
蓄電池を使用する際はどれ程の規模の機器までが推奨されているのか、事前に確認しておきましょう。
以上が蓄電池の寿命を延ばす方法です。
これらのことを意識して使用する時と、何も考えずに使用する時とでは蓄電池の寿命に大きな差が生まれます。
また、製造メーカーからどのような使用方法や保管方法が推奨されているのか確認をすることがとても重要です。
まとめ
蓄電池の種類蓄電池の寿命を延ばす方法
・適切な充電をする
・適切な温度で管理する
・定期的に点検、清掃をする
・使用頻度を管理する
・過剰な負荷をかけない
以上、今回は蓄電池の主な種類と寿命を延ばす方法についての解説でした。
蓄電池は家庭用蓄電池や携帯などの電子機器に使用されているため、電池の減りが早いと感じる方は参考にしてみて下さい。
また、以下の記事では蓄電池に関わりがある直列回路と直流の電気について解説していますので併せて是非読んでみてください。
この記事を読むと、蓄電池の種類と寿命を延ばす方法について理解することができます。