【最強のわかりやすさ】ブリッジ回路の合成抵抗と平衡条件とは?簡単に解説

電気回路にはブリッジ回路というものがあります。

「ブリッジ回路は真ん中の電路の計算がややこしい」と感じることはありませんか?

ブリッジ回路の計算で迷う原因は頭の中で考え方が整理できていない点にあります。

しかし、逆を言えば回路の考え方がしっかりしていれば、計算で迷うことがなくなります。

そこで今回はブリッジ回路の考え方と計算方法について解説をしていきます。

いずみ

この記事を読むと、ブリッジ回路の考え方と計算方法について理解することができます。

ブリッジ回路とは?

ブリッジ回路とは、以下の図のように直並列回路の中点に橋をかけるように電路を設けた回路のことです。

上記のブリッジ回路でV1=V3、V2=V4となった時、真ん中の電路には電流が流れません。

このような真ん中に電流が流れなくなった状態を平衡したといいます。

平衡した時に電流が流れなくなる理由は、そもそも電流は電位差(電圧)がないと流れないためです。

回路が平衡している時は、真ん中の電路の両端(A点からB点)は同じ電圧であることから、両端は同電位となります。

そのため、真ん中の電路間では電圧が発生しておらず、電流も流れません。

電位については以下の記事で解説していますので気になる方は参考にしてください。

ブリッジ回路の平衡条件とは?

ブリッジ回路には平衡する時の条件があります。

平衡条件は以下のとおりです。

$$\frac{R1}{R2}=\frac{R3}{R4}∴R1R4=R2R3$$

直列部分の抵抗のわり算が同じになる向かい合う抵抗のかけ算がそれぞれ同じになる、いずれかの状態を満たしていると回路は平衡していることになります。

上記式には電圧が含まれておらず、抵抗のみの式となっていることから、抵抗の調整のみで回路を平衡状態にできるということになります。

なぜこのような式になるのかというと、平衡している時の電圧の式を整理すると上記の式を導き出せるためです。

一つ一つ順番に解説していきます。

まずブリッジ回路が平衡となる時はV1=V3、V2=V4のように電圧が同じになる時です。

上記式をオームの法則に適用すると以下のような式ができます。

$$V1=V3=R1I1=R3I2$$

$$V2=V4=R2I1=R4I2$$

ここで、キルヒホッフの第2法則を適用するとさらに以下のように関係を整理できます。

$$E=R1I1+R2I1→I1=\frac{E}{R1+R2}$$
・・・①

$$E=R3I2+R4I2→I2=\frac{E}{R3+R4}$$
・・・②

キルヒホッフの第2法則の「閉回路を一巡する時、起電力と各部の電圧の和は0となる」という法則から上記の式が成り立ちます。

ここでいう各部の電圧とは直列部分の電圧を意味します。

キルヒホッフの第2法則については以下の記事で解説していますので気になる方は参考にしてください。

V1=R1I1であることから、I1に上記①の式を代入すると以下のようになります。

$$V1=R1I1=E\frac{R1}{R1+R2}$$

同様にV3=R3I2もI2に②の式を代入すると以下のようになります。

$$V3=R3I2=E\frac{R3}{R3+R4}$$

回路が平衡している時はV1=V3、V2=V4となっていることから、この関係に上記の式を当てはめると以下の式が成立します。

$$V1=V3→E\frac{R1}{R1+R2}=E\frac{R3}{R3+R4}$$

$$R1R4=R2R3$$

以上のことから、回路が平衡している時は最初に説明をした平衡条件が成り立つことがわかります。

ブリッジ回路の合成抵抗の求め方

ブリッジ回路はひし形のように回路図を描かれることが多いですが、回路的には以下のような直並列回路と同じです。

①の真ん中の電路とR1、R3の並列部分はΔ結線とも見なせるため、①部分をY結線に変換して計算する方法が一番シンプルです。

Δ結線からY結線へ変換する式は以下のとおりです。

$$Ra=\frac{Rab・Rca}{Rab+Rbc+Rca}$$

$$Rb=\frac{Rbc・Rab}{Rab+Rbc+Rca}$$

$$Rc=\frac{Rca・Rbc}{Rab+Rbc+Rca}$$

上記式を覚えておくと、複雑な回路を計算する時に便利です。

そのため、ブリッジ回路の合成抵抗を計算する時は下記のような手順で計算をするとわかりやすいです。

STEP

真ん中の電路と並列部分をΔ→Yへ変換する

変換後の抵抗の位置関係に注意しましょう。

STEP

直並列部分の合成抵抗を計算する

Yへ変換後、直列部分の和を計算します。

各直列合成抵抗を逆数の和を逆数とするか、積÷和で計算します。

STEP

残りの抵抗と合成抵抗の和を求める

残りの抵抗とSTEP2で求めた合成抵抗は直列のため、和を求めます。

以上がブリッジ回路の合成抵抗の求め方になります。

直列回路と並列回路の計算は以下の記事で詳細を解説していますので参考にしてください。

ブリッジ回路は何に使われるのか?

ブリッジ回路は様々な場面で使用されています。

主な使用例は以下のとおりです。

ホイートストンブリッジで未知の抵抗を測定する

ブリッジ回路の平衡条件を利用して未知の抵抗値を調べる測定器をホイートストンブリッジといいます。

例えば抵抗値を知りたい素子があったとします。

その素子をブリッジ回路に接続し、残りの3つの抵抗値を調整します。

抵抗の調整をしていき、真ん中の電路の針が振れなくなった時、ブリッジ回路は平衡していることになります。

平衡条件のR1R4=R2R3をR1=R2R3/R4などの形に変形すれば計算して未知の抵抗値を調べることができます。

センサーとして使う

ブリッジ回路は測定器やセンサーなどによく使用されています。

例えば、ある一定の温度を監視するセンサーなどには抵抗値が温度によって変化する特性を利用しています。

通常の状態でブリッジ回路を平衡させ、異常な温度になった場合、抵抗値が変わるため平衡が崩れるようにします。

平衡が崩れれば電流が流れ、異常を感知することができます。

他にもブリッジ回路にひずみゲージを接続し、機器のひずみや歪みなどを測定することもできます。

測定対象がひずむ→ゲージがひずむ→ゲージが変形し、抵抗値が変化→抵抗の変化で平衡が崩れるという流れで測定をしています。

抵抗の変化条件については以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。

整流回路に使う

交流の電気を直流の電気へ変換する回路を整流回路といいますが、この回路にブリッジ回路がよく使われます。

整流回路には一方向にしか電気を流さないダイオードというものを使用します。

交流の電気は常にプラスとマイナスが変化しています。

ダイオード4個をブリッジ回路として全て同じ向きに接続すると、交流がブラスの時でもマイナスの時でも同じ方向(極性)にしか電気が出力されなくなります。

このようなブリッジ回路にダイオードを接続して効率的に直流変換する回路は全波整流回路といいます。

上記3つは主な代表例のため、ブリッジ回路は実際にはもっと多くの場面で使用されています。

まとめ

・ブリッジ回路の真ん中の電路に電流が流れなくなった時、平衡しているという

・回路の抵抗が以下の状態の時、ブリッジ回路は平衡条件を満たし平衡していることになる
$$\frac{R1}{R2}=\frac{R3}{R4}∴R1R4=R2R3$$

・ブリッジ回路の合成抵抗は以下のような式でΔ→Yへ変換して計算をする
$$Ra=\frac{Rab・Rca}{Rab+Rbc+Rca}$$
$$Rb=\frac{Rbc・Rab}{Rab+Rbc+Rca}$$
$$Rc=\frac{Rca・Rbc}{Rab+Rbc+Rca}$$

ブリッジ回路はホイートストンブリッジやセンサー、整流回路などに使用されている

以上、今回はブリッジ回路の平衡条件と合成抵抗についての解説でした。

ブリッジ回路は私たちの生活の中で幅広く使用されている回路です。

ちなみにブリッジ回路の勉強の合間にブリッジをすると頭の中をリフレッシュすることができます。

気になっていた方は参考にしてみてください。

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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。