【最強のわかりやすさ】ダイオードの整流作用とは?仕組みを簡単に解説!

交流の電気は直流の電気に変換することができます。この時に活躍するのがダイオードと呼ばれるものです。

しかし、ダイオードの中でどのように電気が変換されているのかイマイチわかりにくいと感じませんか?

わかりにくいと感じる理由はイメージが掴めていないことが原因かも知れません。

今回の記事ではダイオードの整流作用と仕組みについて簡単にイメージができるように解説をします。

いずみ

この記事を読むと、ダイオードの整流作用と仕組みについて理解できるようになります。

ダイオードの整流作用とは

ダイオードというのは、電気を一方向にしか通さない素子のことです。

基本的な構造としてはp型半導体n型半導体を接合したつくりになっており、半導体同士の性質を利用して上記のような特徴が生まれます。

p型半導体は自由電子よりも正孔の数が多く、n型半導体は正孔よりも自由電子の数が多い半導体です。

p型半導体とn型半導体の詳細は以下の記事で解説していますので気になる方は参考にしてください。

ダイオードには電気を一方向にしか通さない性質があるため、電気をよく通す向きと、まったく通さない向きがあります。

よく通す向きは順方向(順方向バイアス)、通さない向きは逆方向(逆方向バイアス)と呼ばれています。

順方向から電圧がかかり、一方向にのみ電気を流したことを整流したといいます。

このようなダイオードの一方向にしか電気を通さない性質は整流作用と呼ばれています。

整流作用を利用すれば、向きが常に変化している交流の電気も一方向にしか電気を通さなくなるため、直流の電気を生み出すことができます。

なぜ、ダイオードにこのような性質が生まれるのか下記でお話します。

整流作用の原理

ダイオードの整流作用はp型半導体とn型半導体の電子の移動によっておきます。

順方向による整流時と逆方向による抵抗増加の原理は以下のようになっています。

逆方向バイアスの原理

p型半導体の正孔が電源のマイナス極へ

p型半導体は電子の数よりも正孔の数が多い半導体です。

電子は原子結合に使用された状態であり、余った正孔はプラスの電気を持つことから、マイナス極へ引きよせられます。

n型半導体の電子が電源のプラス極へ

n型半導体は正孔よりも自由電子の数が多い半導体です。

正孔は原子結合により生まれず、自由電子はマイナスの電気を持つことから、プラス極へ引きよせられます。

接合面付近に電子と正孔が存在しなくなる

1、2において正孔と自由電子が電源側(プラス極、マイナス極側)に引きよせられることから、接合面付近に正孔と自由電子がなくなります。

このような正孔と自由電子が存在しない領域は空乏層といいます。

空乏層の発生によりダイオードに電流が流れなくなる

電流は電子の移動がなければ発生しません。

空乏層側に電子が移動しないため、電流が流れることもありません。

このことから、逆方向バイアスの時にはpn接合面の空乏層の発生により電流が流れなくなります。

順方向バイアスの原理

p型半導体の正孔がn型半導体へ移動

順方向時はp型半導体内の正孔と電源のプラス極が反発します。

正孔はn型半導体まで移動することになります。(n型半導体の接合付近に正の電荷が現れる)

n型半導体の自由電子がp型半導体へ移動

n型半導体内の自由電子は電源のマイナス極と反発します。

その結果自由電子はp型半導体まで移動します。(p型半導体の接合付近に負の電荷が現れる)

空乏層が狭くなる

1、2により電子と正孔が存在しない領域は少なくなるため、空乏層が狭くなります。

電子の移動により電流が発生

1~3により電子の移動が起きるため、電流が発生することになります。

正孔と電子は電源から常に供給されるため、電流が流れます。

以上が逆方向バイアスと順方向バイアスの整流作用の原理になります。

半導体内の自由電子と正孔が電源側へ移動するか、接合面側へ移動するかによって整流作用は引き起こされています。

ダイオードのツェナー効果とは

ダイオードは逆方向からの電気は通さず、基本的に一方向にしか電気を流しません。

しかし、逆方向にかけた電圧を大きくしていくと、ある時急に電流が流れるようになります。

逆方向に大きな電圧を加えることで電流が流れる現象をツェナー効果なだれ効果降伏現象といいます。

上記の現象が発生した時の電圧はツェナー電圧降伏電圧と呼ばれています。

ダイオードは基本的には一方向にしか電気を通しませんが、逆方向でも大きな電圧を加えていくと電気が流れます。

また、降伏現象が発生して電流が流れた時、流れる電流が大きくなっても電圧はほぼ一定となります。

ダイオードの記号について

回路図などを使用する時、ダイオードは以下のような記号で表します。

ダイオードには上記で説明したとおり、順方向と逆方向があります。

p型半導体側の端子はアノード(A)、n型半導体側の端子はカソード(K)と呼ばれています。

ダイオードの使用例とは?

実はダイオードは様々なものに使用されています。

ダイオードは上記で説明した整流作用を利用して以下のようなものによく利用されています。

整流器として交流電力を直流電力へ変換

ダイオードには上記で解説したとおり電気を一方向にしか流さない性質があります。

交流の電気は向きが常に変化しています。

変化の速さは1秒間に50回、60回(地域の周波数によって異なる)程の速さで常に変化しています。

一方、直流の電気はいくら時間が経過しても向きが変化することがない電気です。

交流と直流の違いについては以下の記事で詳細を解説していますので気になる方は参考にしてください。

ダイオードに交流の電気を加えると、交流の常に変化している向きのうち一方向のみがダイオードを通過することになります。

ダイオードを通過した交流の電気は全て同じ向きであることから、向きの変わらない直流の電気と同じ性質の電気と言えます。

光センサーとして使用する

ダイオードには半導体が使用されています。

半導体には、光や熱が加わると物質中の電子が移動する性質があります。

電子が移動することで電圧が発生するため、その時の電圧を測定し光の量を計測することができます。

電圧を安定させる

電圧の変動を安定させたい時にもダイオードが活躍します。

ダイオードは基本的に一方向にしか電流を流さない素子ですが、逆方向に大きな電圧を加えると大きな電流が流れます。(ツェナー効果

この時の電圧は電流が大きくなっても電圧がほぼ一定となることから、この性質を利用して電源を安定させたい時などに使用されます。

以上が代表的なダイオードの使用例です。

ダイオードは色々な使い方ができるため上記以外にも多くの場面で利用されます。

まとめ

・ダイオードはp型半導体とn型半導体を接合したもの

・ダイオードには順方向と逆方向があり、一方向にしか電流を流さない性質(整流作用)がある

・逆方向に電圧を加えて大きくしていくとツェナー効果が発生し、ある時急に電流が流れるようになる

以上、今回はダイオードの仕組みと整流作用についての解説でした。

ダイオードはとにかく多くの場所で使用されているため重要なものです。

電流や電圧など、電気の基本的なことを理解するとさらに理解を深めることができます。

以下の記事では電流や電圧などについて基本的なことを解説していますので気になる方は参考にしてください。

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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。