「家のブレーカーが最近よく落ちる、、」と感じることはありませんか?
ブレーカーが落ちる時には必ず原因があり、自分でも気づかず原因を繰り返している可能性があります。
今回の記事ではブレーカーの仕組みや落ちてしまう原因について解説をしていきたいと思います。
目次
ブレーカーの役割とは
ブレーカーとは電気回路に異常があった時に自動的に回路を遮断(電源をOFF)してくれる開閉器です。
上記のようなブレーカーが異常を検知して自動的に回路を遮断するまでの流れをトリップといいます。
ブレーカーにはいくつか種類があり、検知したい異常の種類や、ブレーカーを取り付ける電気回路の用途などに合わせて使い分けされています。
ブレーカーの主な種類は以下のとおりです。
契約ブレーカー
契約ブレーカーは契約をしたアンペア(A)数以上の電気を使わないようにするためのブレーカーです。
例えば電力会社と40Aの契約をしていた場合、40A以上の電気を使用すると契約ブレーカーがトリップするため40Aまでしか使用できないようになっています。
契約ブレーカーがないと40Aで契約していたはずなのに45Aや50Aでも使用可能になってしまいます。
このように契約ブレーカーには指定した電流値(A)以上の電気を流させないという役割があります。
ブレーカーの役割上、電気回路の一番電源側に設置されることが多いです。
主幹ブレーカー
主幹ブレーカーは契約ブレーカーの次に電源側にあり、回路全体に大電流が流れると自動的に電源をOFFにするブレーカーです。
電源側に設置されることから、全ての負荷の電流の合計分が主幹ブレーカーに流れています。
安全ブレーカー
安全ブレーカーは機器の過度な使用による大電流や、短絡による大電流などを検知すると自動的に回路の電源をOFFにすることを目的としたブレーカーです。
なぜ大電流が発生した時に回路の電源をOFFにする必要があるのかというと、電流は熱を発生させる原因になるからです。
大電流により高温の熱が発生すると、電線の溶断や機器の破損などに繋がる恐れがあります。
そのため、大電流が発生した場合は早急に電源をOFFにしなければいけません。
以下の記事では、電流が熱を発生させる理由や短絡という現象について詳細を解説していますので、気になる方は参考にしてください。
安全ブレーカーは主幹ブレーカーよりも個別に回路を監視しています。
漏電機能付きブレーカー(ELB)
漏電ブレーカーは漏電を検知した場合、自動的に回路の電源をOFFにしてくれるブレーカーです。
漏電とは、回路の絶縁性能の低下などが原因で電気が本来意図しない場所へ漏れてしまっている現象です。
漏電が発生していると、地面へ電気が流れてしまう(地絡)、人が機器に触れた時に感電する、意図しない場所へ電気が流れ火災が起こるなど様々な危険を呼び起こします。
そのため、漏電が発生した場合は早急に電源をOFFにする必要があります。
漏電や地絡のメカニズム、対策方法などは以下の記事で解説していますので気になる方は参考にしてください。
漏電ブレーカーは主幹ブレーカーや安全ブレーカーとして使用されることが多いです。
以上が普段よく使われるブレーカーの主な種類と役割です。 つまり、ブレーカーが落ちる原因はどの目的で設置されたブレーカーかによって異なることになります。
ブレーカーが落ちる原因とは
ブレーカーが落ちてしまうと電源がOFFになっている状態のため、電気を使用することができません。
ブレーカーが落ちる原因は使用しているブレーカーの種類によって変わってきます。
契約ブレーカー、主幹ブレーカーが落ちる原因
契約ブレーカー、主幹ブレーカーが落ちる原因は短絡による大電流が主な原因です。
大電流がブレーカーの許容電流を超えるため、ブレーカーが落ちてしまいます。
また、もう一つの原因としてブレーカーの不具合の可能性も考えられます。
ブレーカーの内部にはバイメタルという熱によって変形する金属が使用されています。
大電流が流れると熱が発生するため、バイメタルが変形しブレーカーが落ちるという仕組みになっています。
長年ブレーカーを使用していると内部のバイメタルなどに不具合が起きている可能性があります。
契約ブレーカーなどは基本的に一番電源側に設置されており、負荷側には機器を使用するための安全ブレーカーが付いていることがほとんどです。
そのため、機器の使用による大電流については安全ブレーカー側で検知することになるため、負荷の使用による大電流は原因として考えにくいです。
安全ブレーカーが落ちる原因
安全ブレーカーが落ちる原因は短絡や負荷の使用による大電流、ブレーカーの故障などが考えられます。
家電などを複数同時に使用すると大きな電流が流れることがあります。
特に熱を発生させる機器などは大きな電流が流れやすいです。
安全ブレーカーは契約ブレーカーとは違い、回路全体の電流を監視している訳ではなく、負荷側に接続されている機器のみを監視しています。
そのため、よく落ちるブレーカーの負荷側にどのような機器が接続されているのか確認をすることが重要です。
また、ブレーカーの負荷側にコンセントがあればコンセントの先で使用している機器も確認しましょう。
漏電ブレーカーが落ちる原因
漏電ブレーカーの落ちる原因には漏電が発生している、漏電ブレーカーの不具合が起きていることなどが考えられます。
充電部が露出している箇所、絶縁している箇所に異常があると漏電は発生しやすいです。
特に機器が長年清掃されていなかったり、湿気の多い場所にあったりすると絶縁抵抗値が低下しやすく、漏電の原因になります。
以上が電源が落ちる原因として考えられるものです。
しかし、考えられる原因がわかっても原因を特定できなければ対策することもできません。
今度は原因の調査方法について詳しく見ていきます。
ブレーカーが落ちる原因の調査方法
電気業者を呼び、プロの人に回路の状態を見てもらうのが一番安全で確実な方法です。
以下のサイトでは業者を呼ぶ場合の見積りを無料でしてもらえますので参考にしてみてください。
電気は危険な上に、目では見ることができないため、リスクがとても大きいです。
しかし、お金がかかったり、対応してもらえるまで時間がかかる場合もあります。
基本はプロの方に依頼することをおすすめしますが、上記の理由などから、どうしても早急に確認をしたい場合は以下の方法があります。
(テスターなどの測定器が必須です)
短絡を確認する方法
テスターでブレーカーの負荷側の線間で導通の確認をすると短絡が起きているか判定することができます。
ブレーカーの負荷側にある2本の電線間(直流、単相交流の場合)で導通確認を行います。
三相交流回路のブレーカーであれば、負荷側に3本の電線があるため、3本の線間で導通確認をします。
測定をする際にはブレーカーがOFFになっていることを必ず確認してください。
ブレーカーのOFF確認
ブレーカーが入りだと危険なためOFFにします。
テスターのレンジを直流レンジもしくは交流レンジへ切替える
ブレーカーの使用電圧の種類に応じて切替えます。間違っていると正しく測定できません。
一般家庭の電気の場合は交流を使用しています。
ブレーカーの負荷側で電圧を確認する
ブレーカーがOFFであるものの、念のため電圧の確認をしましょう。
ブレーカーが壊れている可能性もあります。
直流や単相交流の場合は2本の線を、三相交流であれば3本の線の電圧をそれぞれ線間で測定します。
電圧が0Vであればレンジを抵抗レンジや導通レンジへ切替える
抵抗値を測定するためにレンジを切替えます。
ブレーカーの負荷側で抵抗値を測定
ステップ3と同じように負荷側のそれぞれの線間で抵抗値を測定します。
抵抗値が無限大∞や表示されない場合は線間に導通がないことを意味するため、短絡はしていないことになります。
抵抗値が0.8Ωなど、いくらか抵抗値が表示される場合は線間で導通があるため、短絡が起きていることになります。
以上の手順でブレーカーの負荷側の短絡有無を判断することができます。
手順5の抵抗値測定の際、抵抗値が表示された場合は回路図を必ず確認しましょう。
負荷側に巻線類などの線間を導通している機器がある場合、短絡(異常)による導通有か、回路構成上の導通有か判断ができなくなります。
測定をする前に事前に線間を導通しているものがないか確認をしておくとスムーズに測定することができます。
抵抗値が出てこない場合は負荷側の線間で短絡は起きていないため、ブレーカーが落ちる理由は他の原因が考えられます。
漏電を確認する方法
クランプメーターという電流(A)を測定する計器を使用すると漏電を確認することができます。
ブレーカーの負荷側の2本、または3本の線をクランプメーターで挟み測定をすると漏電の有無を確認できます。
手順は以下のとおりです。
ブレーカーをONにする
クランプメーターで負荷側に流れる電流を測定するため、ブレーカーをONにします。
クランプメーターで負荷側の電流を測定
ブレーカーの負荷側の線を全てクランプメーターで挟みます。
電流が0Aになれば、電流のバランスがとれているため漏電はしていません。
クランプメーターで負荷側の線を挟んだ際に電流値が表示された場合は回路で漏電が発生していることになります。
電流値が表示されない、もしくは0.〇〇〇mAや0Aと表示される場合は漏電は発生していません。
ちなみにこの方法はブレーカーがトリップしてしまうと測定することができないため注意が必要です。
ブレーカーがトリップした場合、絶縁抵抗測定による方法もありますが、この方法は電気の知識がない方にはおすすめできません。
絶縁抵抗測定の詳細については以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。
上記の2つの手順を実施して短絡や漏電が原因でない場合は、家電や機器の使用による大電流かブレーカーの故障の可能性が高いです。
ブレーカーが落ちる原因の直し方
原因が明確であれば、原因に応じた対策を実施して状況を改善することができます。
原因に応じた対策方法は以下のとおりです。
原因が短絡の場合
原因が短絡であることが判明した場合は、配線類の接触がないか、金物類など異物がないか確認をする必要があります。
配線の接触原因となるものを除去すれば短絡が発生しなくなり、大電流が流れなくなります。
通電をする前に回路の健全性を確認するため、絶縁抵抗測定をしておくとさらに安心です。
原因が漏電、ブレーカー故障の場合
ブレーカーがOFFになっていることを確認し、負荷側のねじ止め部分など充電部が露出するところを清掃してみましょう。
湿気が原因の可能性もあるため、部屋の換気も十分してください。
清掃と換気を実施すると絶縁抵抗値が上昇し、漏電が改善する可能性があります。
上記を実施して改善しない場合は、絶縁抵抗値が低下している配線やケーブルを新しくする必要があります。
配線やケーブルを新しくする作業は電気工事士などの資格が必要となるため、資格を保有する業者に依頼するしかありません。
ブレーカーの故障が原因の場合も同じく、ブレーカーの交換には電気工事士の資格が必要となります。
家電や機器の使用による大電流の場合
家電類の使用により大電流が流れてしまう場合は、機器を使用するタイミングや回路を分ける必要があります。
以下は主な家電の消費電力の目安です。
家電機器 | 消費電力(大) | 家電機器 | 消費電力(小) |
電子レンジ | 1400W | コタツ | 500W |
アイロン | 1300W | 洗濯機 | 500W |
炊飯器 | 1300W | 加湿器 | 500W |
浴室乾燥機 | 1300W | 温水洗浄便座 | 500W |
ハロゲンヒーター | 1200W | 冷蔵庫 | 500W |
自動食器洗い機 | 1200W | 蛍光灯照明 | 100W |
ドライヤー | 1000W | 液晶テレビ | 50W |
オーブントースター | 1000W | パソコン | 50W |
掃除機 | 1000W | 扇風機 | 50W |
エアコン、電気ヒーター | 900W | 電球型蛍光ランプ | 12W |
電気ポット | 800W | LED電球 | 8W |
消費電力の大きい電子レンジ、炊飯器を使用しながらアイロンがけをするとかなりの電力を消費することになります。
消費電力の大きい機器はなるべく使用するタイミングをズラすことでブレーカーのトリップを防止できます。
もう一つの対策方法は家電を使用する回路を分ける方法です。
例えば、ある一般家庭で電子レンジとアイロン、炊飯器を以下のように使用したとします。
3つの家電を同時に使用すると、ブレーカーに流れる電流はそれぞれ以下のようになります。
・電子レンジ:1400W/100V=14A
・アイロン:1300W/100V=13A
・炊飯器:1300W/100V=13A
※一般的な家庭の電圧は100Vであり、W=I×V[W]から算出
・合計:14A+13A+13A=40A
上記のことから3つの家電を同時に使用するとブレーカーに40Aの電流が流れることがわかります。
先程の電気回路において、ブレーカー1の容量は30Aであることから、ブレーカーが落ちてしまいます。
この場合、1つの家電を別のブレーカーの負荷側から使用するとブレーカーが落ちなくなります。
例えば電子レンジを別のコンセントで使用すると以下のようになります。
ブレーカー1に流れる電流は26Aとなり、ブレーカーが落ちません。
電源側のブレーカーも50Aのため、26A+14Aの電流が流れても落ちることはありません。
このようにどうしても同時に複数の家電を使用したい時は違うブレーカーの負荷側から使用するという方法があります。
まとめ
1.ブレーカーの落ちる主な原因
(1)電気回路の短絡による大電流
(2)電気回路の漏電による漏電ブレーカーのトリップ
(3)機器や家電を複数使用し、大電流が流れている
(4)ブレーカーが故障している
2.ブレーカーが落ちないようにする方法
(1)短絡であれば電線の接触の原因となるものを除去する
(2)漏電は清掃や換気をする、もしくは資格を保有している業者に依頼する
(3)ブレーカーの故障は資格を保有している業者に依頼する
(4)家電や機器を複数使用する時は同時に使用しない、使用する回路を分ける
以上、今回はブレーカーが落ちる原因と対策についての解説でした。
ブレーカーが頻繁に落ちてしまうと、発狂せずにはいられません。
ブレーカーがよく落ちてしまう方は参考にしてみてください。
また、以下の記事では電気に関する基本的なことを解説していますので、気になる方は併せて
是非読んでみてください。
この記事を読むと、ブレーカーの落ちる原因と対策方法について理解することができます。