電気には漏電という現象があります。
この漏電というものを気づかずに放置してしまうと、感電する可能性がありとても危険です。
しかし、漏電の仕組みを理解していなければ、調べることも対策することもできませんよね。
今回の記事では、漏電とはどのようなものなのか、調べ方や対策方法などについて解説をしていきます。
目次
漏電とは?
漏電というのは、文字のとおり電気が漏れてしまっている現象のことをいいます。
例えば、被覆で覆われているケーブルがあったとします。
ケーブルは電気が流れている時に触れても感電することはありません。
これは、ケーブルの表面が被覆により中の電線と絶縁されているためです。
絶縁とは、高い抵抗値(Ω)のもので電気が通らない状態にしていることをいいます。
しかし、ケーブルの表面を絶縁している被覆が剥けたりしてしまうと、ケーブルの表面にまで電気が流れてしまいます。
このように、何らかの理由で絶縁状態が保てなくなり、意図しない場所に電気が流れてしまうのが漏電という現象です。
漏電の原因について
漏電が発生してしまう原因にはいくつかあります。
使用している回路の種類によっても様々ですが、考えられる主な原因は下記の2つです。
絶縁抵抗値が低下している
絶縁抵抗値とは回路と大地間の抵抗値のことをいいます。
大地の抵抗値は基本的に0Ωであるため、この絶縁抵抗値が高い程、大地との絶縁性が確保されてあり、安全な回路であると言えます。
なぜ、大地の抵抗値が0Ωになるのかは以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。【3分でわかる】接地と接地抵抗とは?わかりやすく解説!
しかし、絶縁抵抗値が低い場合は今後漏電する可能性が高い、もしくは既にどこかで漏電している可能性があります。
絶縁抵抗値の低下には、以下の要因が考えられます。
経年劣化
機器やケーブルなどを長年使用していると、劣化や傷などにより絶縁抵抗値が下がる可能性があります。
湿気
水分は電気を通しやすくするため、湿度の高い場所は絶縁抵抗値が低くなります。
塩分の付着
塩単体では電気を通しませんが、水分と塩分が組み合わさることにより、電気が通りやすくなります。
沿岸部であれば海風により塩分が付着することで絶縁抵抗値が低下するケースがあります。
絶縁破壊が発生する
絶縁破壊とは絶縁状態が保てなくなる現象のことをいいます。
例えば、100Vの回路に、いきなり高電圧を加えたとします。
そうすると、もともと100Vまでを想定して絶縁されていたものが、本来よりも高い電圧が加わることにより絶縁しきれなくなります。
このように絶縁抵抗値に対して大きな電圧が加わり、絶縁できなくなってしまう現象が絶縁破壊というものです。
また、定格の電圧であったとしても、絶縁抵抗値が下がっている場合は上記のように絶縁破壊が発生する可能性があります。
絶縁破壊には下記の要因が考えられます。
絶縁抵抗値の低下
先程もお話しましたが、絶縁抵抗値が低下していると、正常な電圧であっても絶縁しきれなくなり、絶縁破壊が発生する可能性があります。
小動物の侵入
小動物などにより絶縁物を傷つけられたりすると、絶縁を保てなくなる可能性があります。
雷などの異常な電圧
雷は電圧が高いため、正常な絶縁抵抗値でも回路に高電圧が加わることで絶縁破壊が引き起こされることがあります。
以上の2つが漏電の主な原因となります。
漏電の調べ方とは?
では、漏電はどうすれば分かるのでしょうか?
調べる方法は主に3つの方法があります。
漏電ブレーカーを確認する
一番簡単なのは漏電ブレーカーの状態を確認する方法です。
漏電ブレーカーが切になっている、もしくはブレーカーを入にした瞬間に切になる場合は漏電していることになります。
とてもシンプルですね。
クランプメーターで電流を測定する
もう一つの方法はクランプメーターで電流を測定する方法です。
クランプメーターとは電流が流れる際に発生する磁界を測定することで、電流を計算してくれるものです。
クランプメーターのいいところはケーブルの被覆を剥かずに電流を測定できる点です。
測定方法は配線をクランプで優しくはさんであげるだけです。
漏電の有無を確認するには、単相交流の場合は2本の線をクランプではさみます。
単相の場合は電源から負荷へ行く配線と負荷から電源へ向かう配線の2本になります。
2本の線をクランプではさむと、2本の配線に流れる電流の向きは互いに反対方向で大きさも同じため、互いに磁界を打ち消し合い電流が0Aになります。
0Aにならない場合は2本の配線の電流のバランスが崩れていることになるため、漏電していることになります。
三相交流の場合は3本の配線をクランプではさみます。
三相の場合も同じく、漏電が無ければ三相分の磁界が打ち消し合い0Aになります。
0Aにならない場合は漏電していることになります。
絶縁抵抗値を測定する
絶縁抵抗計というもので絶縁抵抗値を測定することができます。
絶縁抵抗計とは高電圧を印加し、回路に流れた電流を計測することで、抵抗値を測定するものです。
絶縁抵抗値を測定するので、0Ω付近になれば漏電している可能性が高いです。
しかし、この方法は高電圧を印加することになり、電気の知識が無い方には危険なため、他の方法で確認することをおすすめします。
測定後の放電の仕方など、電気について熟知している方であれば問題ないと思います。
漏電の対策方法について
漏電は可能であれば未然に防止したいですよね。
漏電の対策方法には主に下記の5つの方法があります。
機器やケーブルは新しくする
もしも使用している機器やケーブルの絶縁抵抗値が低いのであれば交換を検討しましょう。
漏電が発生してから交換するよりはトータルコストが低く済む可能性もあります。
湿気を無くす
電気回路の使用環境にもよりますが、湿度が高いと絶縁抵抗値が低下します。
換気をしたり、ヒーターを設置するなどして湿度を下げましょう。
ドライヤーなどでひたすら乾燥させることでも絶縁抵抗値が上昇します。
また、シリカゲルなどの湿気を吸収してくれるものを設置することもおすすめです。
小動物の侵入経路を無くす
小動物が侵入できそうな入口や隙間が無いか確認しましょう。
侵入できそうな場所は粘土や板などで埋めましょう。
清掃をする
ゴミやほこり、塩分が付着することにより、絶縁抵抗値は低下してしまいます。
定期的に清掃するだけでも十分な対策になります。
漏電ブレーカーを設置する
漏電ブレーカーを設置していれば、漏電が発生した際に自動的に検知して電源を切ってくれます。
そのため、漏電が発生しても感電するリスクを無くすことができるため、とても安全です。
以上が漏電の主な対策方法です。
換気や清掃をするだけでもかなり効果的なため、定期的に実施することをおすすめします。
まとめ
・漏電とは何らかの理由で絶縁状態が保てなくなり、意図しない場所に電気が流れてしまう現象
・漏電の原因には絶縁抵抗値の低下と絶縁破壊がある
・漏電の調べ方には以下の3つの方法がある
(1)漏電ブレーカーが切になることを確認する
(2)クランプメーターで電流を測定する(単相は2本、三相は3本)
(3)絶縁抵抗計で絶縁抵抗値を測定する
以上、今回は漏電の概要と調べ方についての解説でした。
漏電は危険な現象であるため、怪しい感じがする回路や機器を触る前には漏電の有無を確認するようにしましょう。
場合によっては業者などを呼んで見てもらうのも一つの手段だと思います。
また、電気の危険な現象には漏電の他にも地絡や短絡といったものもあります。
以下の記事では地絡と短絡について詳細を解説していますので、併せてぜひ読んでみてください。
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