【簡単】地絡とは?3つの原因と引き起こされる危険をわかりやすく解説!

電気回路の地絡は危険な現象です。

しかし、地絡という言葉を聞いても「どんな時に発生するの?」、「地絡が発生するとどうなるの?」となかなかイメージすることが難しいです。

地絡とはとても危険な現象であるため、可能であれば未然に防止をする必要があります。

今回の記事ではこの地絡という現象の概要や原因などについてわかりやすく解説していきます。

いずみ

この記事を読むと、地絡の原因と地絡が発生するとどうなるのかということを理解できます。



地絡とは?


地絡とはどのような現象かというと、地面に電気が流れる現象です。

電気というのは抵抗の低いものに流れようとする性質があります。

地面の抵抗はほぼ0Ωのため、何かの拍子に電気回路と地面が接続状態になってしまうと、電気は抵抗の低い地面の方へ流れてしまいます。

以下の記事ではなぜ地面の抵抗が0Ωになるのか解説していますので、気になる方は参考にしてください。

地絡は地面に電気が流れる現象なので、電気回路と地面の間で電圧が発生し、地面には電流が流れることになります。

この時の電圧を地絡電圧、地面に流れる電流を地絡電流といいます。

ポケモンをやったことがある方は分かると思いますが、じめんタイプのポケモンにでんきタイプの技を出しても効果がありません。

地面に電気が流れることで、電気回路に正常な電気が流れなくなってしまうためです。


正常な電気が流れなければ、電気回路は本来の役割を果たすことができません。

地面に電気が流れてしまい、電気回路が正しい機能をしなくなる、これが地絡の大まかな概要です。

地絡電流の流れ方

地絡電流は地面に流れて終わる訳ではありません。

地絡電流は地面に流れた後、地面を経由し他の機器に接続されているアース線を通ることになります。

配線から漏れ出た電流がアース線を介して地盤に流れ、地面内を進みながら別の場所で地面からアース線に戻ります。

別の場所のアース線がつながっている機器の電気回路が漏電している機器と電気回路がつながっている場合、以下のように地絡電流がぐるぐると回ることになります。

漏電機器→アース線もしくは地面→地面の中→地面に繋がっている他のアース線→そのアース線がつながっている機器→漏電機器

このことから地絡電流が流れると本来は異常が無かったはずの機器にも異常な電流が流れることになり悪影響を与えることがわかります。

地絡の原因とは?


どのような電気回路でも地絡が発生しやすいパターンは大抵決まっています。

考えられるおもな原因は下記のとおりです。

原因1:自然現象によるもの

例えば電柱の配電線の場合は、木の枝が強風で接触し、木の枝→木→地面の流れで電気回路ができあがり、地絡が起きるケースがあります。

原因2:クレーンなど重機が接触した

クレーンや高所作業車等の重機を使用し、上部の電線に気づかず接触し地絡が起こるケースもあります。

重機類は金属製のため、電気をよく通します。充電箇所に接触した場合は、重機→地面へ電気が流れます。

原因3:絶縁不良による漏電

ケーブルなどは長年の経年劣化により、ケーブル周囲を絶縁している被覆が劣化している可能性があります。

絶縁している被覆が劣化していると、絶縁物の抵抗値が下がり漏電する可能性があります。

漏電とは、文字通り電気が漏れてしまっている現象のことです。

電気が表面に漏れている状態なので、漏れた電気がそのまま地面に流れることで地絡が発生します。

また小動物により、電線の周囲を覆っている被覆が剥けてしまい、絶縁性能が低下してしまうなどの理由で地絡が起きることもあります。

漏電の概要と原因については以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にして下さい。

地絡が起きるとどうなる?



地絡は地面に電気が流れてしまう現象とお話しました。

地面に電気が流れているということは、電気設備に本来流れるべき電気が流れていないということになります。

そのため機械が損傷してしまったり、正しい動作が出来なくなってしまうことがあります。

また、地面に電気が流れることになるため、近くに人がいた場合感電してしまう恐れがあります。

感電の仕組みについては以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。

地面にガソリンなどの危険物を置いていた場合もとても危険です。

これらのことから、地絡という現象はとても危険であることが理解できたと思います。

地絡の調べ方は?

地絡を調べるためには、以下の方法を参考にしてください。

  1. 専門家による点検: 複雑な電気システムでは専門家による定期的な点検が必要です。
  2. 機器の動作確認: 機器が予期せぬ動作を示す場合、地絡の可能性があるため確認が必要です。正しい動作をしているか確認しましょう。
  3. 配線の視覚検査: 視覚的な検査で、絶縁材料の劣化や断線、誤った配線を発見できるかもしれません。
  4. 抵抗測定による調査:テスターやメガーといった、抵抗を測定できるもので調査が可能です。近くにアースを接続している箇所があれば、測定したい箇所~アース間で回路の抵抗測定をします。抵抗が0になった場合は、測定回路が大地に導通していることを意味するため、地絡していることになります。

以上が主な地絡の調べ方です。

電気的知識や経験があまりない方は①の方法がおすすめです。

地絡の対策方法について

危険な現象はなるべく未然に防止したいですよね。

ではどのような対策方法があるのでしょうか?対策方法について、いくつか紹介します。

対策1:漏電機能付きブレーカーを使用する

一番簡単なのは、漏電機能付きのブレーカーを使用することです。

漏電機能付きというのは地絡を検出した際に、電源を自動的に遮断してくれる機能のことです。

電気が漏電していると、そのまま大地へ電気が流れる可能性が高いため、漏電を防止できれば地絡を防止することになります。

この機能があれば、漏電が発生し地面へ電気が流れることはなくなりますよね。無敵です。

対策2:周囲の環境を点検する


周囲の環境をよく確認しましょう。(近くに木など地面に繋がりそうな物は無いか)

また重機を使用する際は上部に電線がないか確認をするだけでも防止につながります。

対策3:絶縁性能を維持させる

経年劣化が激しく、このケーブル大丈夫かな、、?というものは新しいものに交換しましょう。

ケーブルに限らず、古い機器は交換をするべきです。

また、小動物により配線を傷つけられたりすると危険です。

小動物が侵入しないように対策をしていきましょう。

まとめ

地絡とは地面に電気が流れる現象

地絡時の電圧と電流は地絡電圧地絡電流という

地絡の原因は自然現象や重機接触、絶縁機能低下などの要因がある

地絡が発生すると機器の損傷や誤動作、人が感電するなどの可能性がある

地絡は漏電機能付きのブレーカーを使用する、絶縁機能を維持させるなどで未然に防ぐことができる

以上、今回は地絡の概要、対策方法についての解説でした。

地絡はとても危険な現象なので、未然に防げるならば防止したいですよね。

皆さんも身近に無敵の漏電ブレーカーがないか確認してみてはいかがでしょうか。

また、今回のような電気現象を理解するには電気の基本的な知識が必要となります。

以下の記事では電気に関する基本的な理論などをわかりやすく解説していますので併せて是非読んでみてください。

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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。