【最強のわかりやすさ】高調波対策とは?高調波の発生原因と問題点を解説!

わっとちゃん

高調波ってたまに聞くけど、一体何なの?よくわからないけど、めちゃめちゃ難しそうなイメージがあるよ、、、。

いずみ

難しそうなイメージがありますが、ポイントを押さえれば誰でも理解できるようになりますよ!

電気工学において、高調波は無視できない重要な問題となっています。

この記事では、高調波の発生原因、それが電気システムや設備に及ぼす影響、さらにその問題点と対策方法について詳しく解説します。

高調波とは

高調波とは、簡単にいうと基本波に比べて数倍~数十倍の周波数を持つ波のことをいいます。

基本波は、普段の通常状態での波のことを指します。

私達が普段使用している電気には、直流交流の2種類のタイプが存在します。

直流は大きさや向きが常に一定であることから、周波数という概念がそもそも存在しません。

一方で交流の場合は向きや大きさが常に波のように変化していることから、周波数を持っています。

周波数は東日本であれば50HZ、西日本であれば60HZを使用しています。つまり、普段使用している50HZや60HZの周波数が基本波ということになります。

高調波は言い換えると、50HZや60HZの数倍の周波数を持った波とも言えます。

高調波による波形の歪のイメージ

高調波が発生してしまうと、波が歪む原因になってしまいます。

電力系統において、電源の波形は普段は綺麗な正弦波(基本波)を描いています。

しかし、高調波も持つ電圧、電流が電力系統に流れ込むと、基本波+高調波の合成結果が電力系統となってしまい、歪んだ波になってしまいます。

電力系統の波形が歪んでしまうと、様々な問題の原因となるため、対策をしなければいけません。

第n次高調波について

高調波は、基本波と比べた周波数の高さに応じて、第n次高調波と呼びます。

例えば、基本波よりも2倍の周波数を持つ高調波は第2次高調波、基本波よりも3倍の周波数の高調波の場合は第3次高調波といった感じです。

つまり、基本波が50HZであった場合、第11次高調波は550HZの周波数を持っていることになります。

高調波は最大で40次まであります。

わっとちゃん

なるほど、周波数の大きい波が高調波ってことなんだね。第3次高調波って何かきいたことあるかも。

いずみ

第3次高調波は、電力系統において発生しやすい高調波の一つで有名ですよ!

なぜ高調波は発生するのか?

高調波は主に需要家や一般家庭のインバータで発生しています。

インバータとは、交流を直流に変換し、変換した直流から理想の周波数や電圧を持つ交流を発生させる回路のことです。

インバータ装置の概要

簡単に説明をすると下記のようなことをしています。

コンサベータで交流を直流に変換→インバータ回路で直流を交流に変換して理想の交流をget!→環境や場面に応じた制御をするために負荷へgetした交流を供給

インバータがあるとモーターの速度調整などが容易になり、とても便利なためエアコンやパソコン、テレビなど様々なものに使用されています。

上記の機器を使用すると、交流を直流に変換する過程で高調波電流が発生し、電力系統の電圧波形に影響を与えます。

では、インバータでどのように高調波が発生するのか見ていきましょう。

インバータの仕組みについて

インバータのうち、コンサベータで高調波は発生します。

コンサベータというのは、交流を直流に変換(整流)する回路のことです。

コンサベータには全波整流回路とコンデンサがよく使用されています。

全波整流回路とは、ダイオード一方向にしか電流を流さない素子)でブリッジ回路を組んでいる回路のことです。

ブリッジ回路については、以下の記事で詳細を解説していますので気になる方は参考にしてください。

高調波の発生原因を理解する前に、まずはコンサベータで普段どのように交流から直流へ変換されているのかを知る必要があります。

コンサベータの整流イメージは以下のとおりです。

高調波とインバータについて
STEP

交流電源からV1、I1、I2が発生しており、コンデンサに電圧Vcがかかり、電流Icが流れます。

STEP

コンデンサが充電されると、コンデンサ電圧VcがV1と等しくなり、電流I1、I2、Icが流れなくなります。

STEP

コンデンサ電圧Vcがやがて電源電圧V1よりも大きくなり、コンデンサから電流Ic´が流れます。電流Ic´が流れることでコンデンサ電圧Vcが下がります。

STEP

コンデンサ電圧Vcが下がると電源電圧V1よりも小さくなり、STEP1から同じことを繰り返すことになります。

以上がコンサベータの基本的な整流の流れです。

今度はコンサベータの各電圧と各電流の波形を見てみましょう。

交流から直流を生み出すまでの流れを簡単にまとめると、「正弦波を全波整流回路で一方向にまとめる」→「コンデンサの充電、放電により波形を直線に近い形にする」といった感じです。

高調波が発生する原因

交流は常に+とーを繰り返しますが、全波整流回路のダイオードにより、+の時でもーの時でもコンデンサには常に同じ方向に電流が流れるようになっています。

なぜならダイオードは三角の先の方向にしか電流を流さないからです。(三角の先に対して反対向きには流れない)

全波整流回路がないとコンデンサが常に充電できなくなってしまうため、直流に変換することができなくなってしまいます。

波形を見るとコンデンサの放電電流Ic´が直線(直流)に近い形になっているのがわかると思います。

このような流れでコンサベータでは交流波形から直流へ変換がされています。

インバータはコンサベータで変換した直流を今度はインバータ回路で理想の交流に変換し、機器の制御をしています。

高調波の発生原因について

高調波はコンサベータで発生します。

波形の図を見てもらうと、コンサベータ回路に流れる電流I1は、コンデンサの影響を受け、電源電圧V1の波形に比べて波の幅が狭いことがわかります。

波の幅が狭いということは基準波の1サイクルの時間(波形が1週する時間)を基準に考えると波の幅が狭い方が、同じ時間内で波の数が多くなりますよね。

例えば、基本波を50HZとした場合、1サイクル(波形の1周期)にかかる時間は0.02秒です。(50HZは1秒で波を50回繰り返すため)

同じ0.02秒の時間内で基本波と基本波よりも幅の狭い波形で波の数を比べた場合、波の数が多くなるのは、基本波よりも幅が狭い方です。

波の数というのは周波数のことなので、これが高調波ということになります。

以上の過程からコンサベータで高調波電流が発生することになり、その電流が電力系統に流出すし、色々な問題が発生しています。

わっとちゃん

コンデンサに合わせて電流が変化するから、高調波になるってこと?

いずみ

そうですね、電流が急激に流れるタイミングがあり、パルス状の波形が生まれ、波形を歪ませる原因になっています。

高調波の発生には、どんな影響があるか

高調波電流が流れると、多くの問題を発生させます。主な問題点は以下の通りです。

  1. 電圧波形が歪む:高調波による追加の電流が流れることで、電力系統のインピーダンスとの間に電圧降下が発生します。この電圧降下は高調波による電圧降下のため、もちろんしっかりと高調波を含んだ電圧降下が発生します。その結果、電圧降下の影響を受け、電源電圧波形が歪むことになります。
  2. 機器の故障:高調波電流が流れると、電圧波形も歪むことから、機器から騒音や故障が発生したり、機器の寿命が低下するなどのリスクがあります。
  3. 調相用コンデンサが焼損する:電力系統や受電設備には、位相を調整するためにコンデンサを置いていることがあるのですが、コンデンサは高調波電流を流しやすい性質があるため、大電流が流れ、焼損するケースがあります。

高調波電流が発生すると上記のような悪影響が懸念されます。

ちなみに、なぜコンデンサが高調波電流を流しやすい性質なのかというと、コンデンサの抵抗は周波数の影響を受けるためです。

コンデンサの抵抗は容量リアクタンスと呼ばれ、以下の式で求めることができます。

$$Xc=\frac{1}{ωC}=\frac{1}{2πfC} [Ω] $$

式を見ると、周波数fが大きい程、容量リアクタンスは小さくなることがわかります。

容量リアクタンスが小さいと、抵抗が小さいということであり、電流を流しやすくなってしまうということになります。

上記の式でコンデンサの抵抗を求められる理由は、以下の記事で詳細を解説していますので参考にしてください。

以上のことから、コンデンサには高調波電流を流しやすい性質があるため、注意が必要です。

高調波の対策方法とは

高調波の問題に対処するためには、以下のような対策が効果的です。

  1. 高調波を考慮した機器設計にする
    高調波電流が発生することが分かっているのであれば、機器の設計段階で高調波の影響を考慮することで、故障するリスクを下げられます。
  2. 受動(パッシブ)フィルターの使用
    電力系統で発生しやすい高調波は、第3次高調波と第5次高調波、第7次高調波というデータがあります。これらの高調波電流を流しやすい機器(フィルター)を設置することで、高調波電流を吸収させ、高調波が波及しないようにします。先程説明したとおり、コンデンサは高調波電流を流しやすいことから、フィルターとしてよく使用されます。
  3. 能動(アクティブ)フィルターの使用
    高調波電流を検知した場合、その高調波電流に対して180°反対の位相を持つ電流を出力するものです。逆位相の電流を出力することで、高調波電流を打ち消すことができます。まさにアクティブです。しかし、構造が複雑になるというデメリットもあります。
  4. 結線をΔ結線にする
    この対策は第3次高調波にのみ有効な方法です。Δ結線にすると、第3次高調波をその回路内で吸収させることができます。
    自分の回路で循環するだけなので、第3次高調波の電流が電源側へ流出しなくなり、電力系統に影響がでません。

以上が高調波に対する主な対策方法です。

ちなみに、Δ結線にすると第3次高調波を回路内で吸収できる理由は、第3高調波の電流は、3相全てが同じ電流となり、線電流が流れないためです。

第3高調波が電源側へ流出しない理由は、Δ結線の電流の流れ方と第3高調波の式について注目するとわかります。一つずつ順を追って説明します。

まず、基本波(交流電源の電流)を式で表してみます。電源電流をia,ib,icとすると、以下のようになります。

$$ia=I\sin{ωt}$$
$$ib=I\sin{(ωt+\frac{2}{3}π)}$$
$$ic=I\sin{(ωt+\frac{4}{3}π)}$$
$$※ω=2πf$$

基本波は3つの電流が同じ大きさで、位相が120°ずつズレれていることから、通常は上記の式のようになっています。

一方、第3高調波の電流は基本波に比べて3倍の周波数を持った電流であることから、基本波の式に含まれる周波数fを3倍したものになります。

第3高調波の電流をそれぞれi3a,i3b,i3cとすると、以下の式で表せます。

$$i3a=I\sin{3ωt}$$
$$i3b=I\sin{3(ωt+\frac{2}{3}π)}=I\sin{(3ωt+2π)}$$
$$i3c=I\sin{3(ωt+\frac{4}{3}π)}=I\sin{(3ωt+4π)}$$

i3a,i3b,i3cは2πずつの位相差があることになりますが、πは180°であることから、i3bは1周(360°)、i3cは2周(720°)してi3aと同じベクトルになります。

第3高調波の電流ベクトル

このことから、第3高調波の電流は結果的に全て同じ位相になることが分かります。

位相も大きさも同じであることから、i3a=i3b=i3cという関係になっています。

ここまでの内容を踏まえて、今度はΔ結線の電流の流れ方に注目します。

Δ結線の電流イメージ

この時、i3aは分岐するiaとi3cの合計になることからi3a=ia+i3cという関係があります。(キルヒホッフの法則

キルヒホッフの法則については以下で詳細を解説していますので、気になる方は参考にしてください。

線電流iaを求める式に変形すると、ia=i3a-i3cという形になります。

第3高調波の電流は大きさも位相も全て同じであることから、ia=i3a-i3aと置き換えられることから、線電流iaは0です。

線電流が0なため、第3高調波による線電流は流れず、外部へ流出する電流がないということになります。

これが、Δ結線が第3高調波の電流を流出させない理由です。

以上が高調波に対するおもな対策方法となります。

わっとちゃん

第3高調波の時は位相差が無くなるんだね!

いずみ

1週、2週して同じ位相になります。まさにミラクルです。

高調波を測定するには

高調波電流といっても、電流であることに変わりはないため、普通のクランプメーターと同様に
測定できます。

測定方法は同じですが、高調波の領域まで測定可能なクランプメーターが必要になります。

普通のクランプメーターと同様に電線を優しく挟んであげれば測定することが可能です。

まとめ

・高調波とは基本波よりも数倍~数十倍までの周波数を持つ電流や電圧のこと。基本波に対して周波数がn倍の時は第n次高調波と呼ぶ

・高調波は需要家や一般家庭の機器で発生し、インバータの交流から直流へ変換する過程で発生する

・高調波には機器の寿命を縮めたり、故障や焼損をさせるリスクがある

・高調波の対策にはフィルターを使用して高調波を減らす方法、Δ結線で高調波を吸収させる方法などがある

以上、今回は高調波の概要と問題点、対策方法などに関する解説でした。

高調波に対する難しそうフィルターは少しでも減らしていきたいですね。

また、今回の記事で少し触れた位相やダイオード、正弦波などは電気回路の基本となる重要な概念です。

以下の記事では、これらの詳細を解説していますので、あわせて是非読んでみてください。

交流の電気の位相とは何か?
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いずみ
電気について勉強を始めて12年。その内9年は変電所や発電所に関わる仕事を経験し、現在も目に見えない危険な電気と戦う毎日を過ごしている。電気について気楽に学べる場所があればいいなと思い、第一線の現場で得た電気系知識、経験などを発信しています。